Short Short Collections

主にTwitterのワンライ企画やお題で書いたショートショートをまとめています。
男女もの・BLもの・その他いろいろごちゃ混ぜです。

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2021年1月 この範囲を新しい順で読む この範囲をファイルに出力する

【300字SS】演者はどっち?

#男女もの

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300字SS  のお題に挑戦しました。『演じる』です。

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 君の考えは残念ながらお見通しなんだ。その伏せられた瞳の奥で、これなら同情をひけると考えているんだろう?
 君は想いを触れ合わせていると信じていた相手にふられたことに胸を痛めて、他にもいい人はいるから元気を出して、私はあなたの味方だからと言いたいはずだ。前回もその前もそうだった。
 実はこちらの用意した舞台だと知ったら、演者にわざわざ君を選んでいる理由さえも知ったら、一体どんな演技をぶつけてくるのだろう?
 目元にハンカチを当てた君がそろそろと顔を持ち上げる。緩みそうな唇を必死に引き結ぶ。
「どんなあなたでも、私は味方だから」
 一瞬、背筋がふるりと震えた。畳む

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【300字SS】夢は現実を超えない

#CPなし

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300字SS  のお題に挑戦しました。お題は『夢』です。

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家を出たら目の前に毛繕い中の黒猫がいた。
逃げていく背中を追う形で、曲がり角を通り抜ける寸前に眼前を何かが横切った。子どもの蹴ったボールと靴だった。
夢の内容そのまま過ぎて、今すぐ駆け出したくてたまらない。次がクライマックスなのだ。
二つ目の角を曲がり、やがて見えてきたバス停に――いた。長い黒髪の女の子だ。
こちらに笑顔を向けて駆け寄ってくる。
我慢だ、堪えろ。もうあと二歩ほど縮まれば、抱き留められたはず――
「もう、遅いよー」
可愛い声が聞こえたのは左の耳、しかも後方から。
呆然と振り向くと、隣に男がいた。

そういえば、夢は、触れられそうなところで終わっていたっけ。

雑音と化した笑い声から、全力で逃げ出した。畳む

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【300字SS】辿り着いた楽園

#男女もの

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300字SS  のお題に挑戦しました。お題は『祝う』です。
最初から最後まで明るい感じで書きたかったのにちょっぴり暗くなってしまいました😅

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「おめでとうございます」
「おめでとうございます」
 互いに向かい合って正座しながら深く頭を下げて、ゆっくり上げる。そして、耐えきれず吹き出した。
 結婚してから、元旦の朝一番にこうして祝言を交わすのが恒例になっている。
 去年も充実した日々を過ごせた。大きな事故も病気もなく、敢えて目立った出来事と言えば何度か喧嘩をしたぐらいだ。
「今年もこうやって、笑い合って過ごしたいね」
「できるさ。今までもそうだったんだ」
 隣に座ると、優しく抱き寄せてくれた。ほっとする。彼の存在がこんなにも心強い。
 この先、彼が一緒なら何も怖くない。過去を思えば、なおさら。
 縋るように、彼の胸元に頭をすり寄せた。畳む

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【300字SS】やさしさに包まれて

#男女もの

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300字SS  のお題に挑戦しました。お題は『包む』です。
めちゃくちゃベタだと思いますw

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「この公園を知ってから、気持ちにすごく余裕ができた気がするよ」
ここで知り合いになった常連客の彼は、私を見ながら目元を緩ませた。
確かに、出会った頃よりずいぶん穏やかな雰囲気になったし、全てに絶望していたような表情も消えた。
「よかった。私も、毎日手入れしている甲斐があります」
彼はなぜか微妙に視線を外した。もしかして照れてる?
「……そうだね。君の優しい気持ちがこもってるから、花とかこんなに綺麗で、癒やされるんだと思う」
私も同じ目に遭った。嬉しいけれど褒めすぎだ。手入れしている人は他にもいるのに。
「君が俺を、助けてくれたんだ」
照れ隠しの言葉を綴ろうとした口は、まっすぐな視線に射貫かれて止まった。畳む

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【300字SS】「余り者」も悪くない?

#男女もの

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300字SS  のお題に挑戦しました。お題は『余り』です。
「余り者」っていう言葉が張り付いて離れなくなった結果ですw

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ふと、彼女が小さく笑った。怪訝に思いながら顔を覗き込むと、緩く首を左右に振った。
「最初は余り者同士だったよね、って」
そういえば、彼女とペアを組むのはこれで三度目だ。
一度目は、名前を知る程度の他人で気まずさが付きまとった。
二度目は、一度目があったから何となく。
それから、ちょっとした知り合いから、常に頭の中に存在するほどの相手となった。
「あの時はマイナスなイメージが強かったけど、今は意外とそうでもないなって。単純かな」
「……むしろ、運命の出会いだったんじゃないかな」
口にしてから、使い古され過ぎたクサい台詞だったと羞恥でいっぱいになったけれど。
彼女はただ、柔らかく笑い返してくれた。畳む

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