Short Short Collections

主にTwitterのワンライ企画やお題で書いたショートショートをまとめています。
男女もの・BLもの・その他いろいろごちゃ混ぜです。

カテゴリー
ハッシュタグ

使用お題:もって三日の絶交

#男女もの

20210101235238-admin.jpg

「フリーワンライ企画」 さんのお題に挑戦しました。
いろいろネタを考えたけど、結局素直に使って書きましたw

---------

 絶交だと言われたけど、私はそんなに気にしていなかった。
 だって彼は、自分で言うのもなんだけど私のことが本当に大好きで、多分私がいないと生きていけないような人だから、もっても一日だけだと思ってた。

 なのにおかしい。
 三日目が終わろうとしてるけど、大学に行っている間以外は部屋に引きこもって顔も合わせようとしてくれない。
 私の部屋だけにあるダブルベッドも私ひとりきり。そういえばひとりで寝るってはじめてだ。
 そんなに怒らせてしまったなんて……私は、無意識に甘えすぎていた? 確かに、彼はなんでも笑って許してくれる。
 ああ、そういえば最初の頃は懐の深すぎる彼に甘えないようにって自分でブレーキをかけていたけど、いつからか緩んでいたかもしれない。
 気づいたら涙がこぼれていた。泣く資格なんてないのに、勝手に流れてくる涙が悔しい。

 私も、彼がいないと生きていけないからだになっていたんだね。
 それに今頃気づくなんて……ほんと、ばかみたい。

「ごめんなさい! 本当にごめんなさい……!」
 部屋のドアを叩きながら叫ぶように謝って、その場に崩れ落ちてしまう。
 簡単に許されるなんて思ってない。自己満足って思われてもいい。とにかく謝って、また私に笑いかけてほしい。大好きだと言ってほしい。
 ややして、控えめにドアの開く音がした。
「……ごめん。今回は意地張っちゃったんだ。泣かせちゃって、俺こそ本当にごめんね」
 身体を包む三日ぶりのぬくもりに、違う涙が溢れた。畳む

ワンライ 編集

わずかになにかが変わった日

#BL小説

20210101235015-admin.jpg

「一次創作BL版深夜の真剣60分一本勝負」 さんのお題に挑戦しました。
使用お題は『ターニングポイント』『エイプリルフール』です。

---------

「なあ、付き合ってみねえ?」
 いつもの学校の帰り道、まるで世間話のように切り出した俺に、隣を歩く幼なじみは一瞬動きを止めた。
「……どこに?」
「場所じゃねえって」
 口元を引き結んで真剣に見上げる俺の姿に、さすがに意味を理解したらしい。それでも視線は戸惑ったように四方をさまよう。
「……ああ、そういえば今日ってエイプリルフールだったな。くだらねーこと言うなって」
 軽く笑い飛ばして、無理やりでも冗談ですませようとしている。
 ある程度予想はしていた。ショックはあれど、表には出さない。
 だから――強気に出てみるしかないと思った。

 腕を組んでみる。
「っお、おい」
 そのまま恋人繋ぎをしてみる。
「ま、待て。離せって」
 並んで立つと、俺の頭の位置がちょうど彼の肩口に来るから、寄り添ってみる。
「や、やめろってば!」
 力づくで距離を作った彼の顔は、引くというより戸惑いだけで満たされていた。

 赤い顔が可愛いと思えてしまった時点で、抱きしめてキスまでしたいと願ってしまった時点で、やっぱり俺はこいつのことを……。
 いつからだ? 記憶を高速で巻き戻してもわからない。
 気づけばこの目は、女子ではなく彼だけを追っていたのだから。

「な、なあ」
 気まずい空気にとりあえず割り込んだのは、彼だった。
「その、もっかい確認するけど……エイプリルフールは、関係ないんだよな?」
 一語一語、噛みしめるように問いかけてくる。そういえばこいつは、根はとても真面目な性格だった。
「……うん」
 目を微妙にそらして頷く。今になって急に怖じ気づいてきてしまった。
 でも、ここまで行動しておいて黙ったままもずるいだけだ。もう一度、勇気を振り絞らないといけない。

「お前を見る目が、気づいたら変化してて」
「本当に、そういう目で見てるのかどうか、確かめたくて」
「勢いだけで、あんなこと言って、手繋いだりした」

 また目をそらしたい臆病さを何度も押し込んで、まっすぐに視線を向けてくる彼を捉え続けながら白状する。改めて考えれば、俺自身のために気持ちをまるっきり無視して利用したようなものだ。怒られても何も言えない。

「で、どうだったんだよ」
「……え?」
「だから、結果だよ。そういう目で見てたって、確定なのか?」
 予想もしなかった展開に頭が追いつかない。どう答えればいいのか戸惑っていると、突然彼は背中を向けてしまった。
「お、おい?」
「言えないなら、俺もなにも教えてやーんない」
「ちょ、ちょっと待てって。教えるってなにを? どういうことだよ?」

 俺をわずかに振り返った幼なじみの目は、どこか柔らかく見えた。畳む

ワンライ 編集

文字書き60分一本勝負SS・身長差

#男女もの

20210101234816-admin.jpg

「深夜の真剣文字書き60分一本勝負」さんのお題に挑戦しました。
お題を素直に使った、身長差のある学生カップルのお話。

--------------

 私と彼の身長差が羨ましいとよく言われる。

 特に、包み込むように抱きしめられると嬉しいでしょ、守ってもらえてるみたいでいいよね――そういったセリフを何度浴びせられたかわからない。
 でもね、現実は憧ればかりがつまっているわけでもないんだ。

「相変わらずの不機嫌顔だねえ」
 学校から家までの道を、いつものように並んで歩く。百八十を超える身長の持ち主である幼なじみの恋人はずっとにやにやしっぱなし。腹立つ。彼の頭ひとつぶん低い私の歩幅にちゃんと合わせてくれているのがまた、悔しい。
「『私も見下されたい!』とか『背中から包み込んでほしい!』とか言われまくったらね。憧れるほどでもないけどって口酸っぱく反論したいわよ」
 実際したこともあるが、照れちゃって〜! とツンデレ扱いされて終わってしまった。面白がっている隣の恋人しか理解してくれていないというのが、実に悲しい。
「俺は好きなんだけどなぁ。お前、ほんとすっぽり抱きしめられる大きさなんだもん。心地いいっていうか」
 言いながら抱きしめられて、慌てて身じろぐも全く動けない。しまった、完全に油断していた。
 ……別に、こうされるのが嫌なわけじゃない。ただ、こういう「小さくてかわいい」みたいな扱いを全面に出されるのは性に合わないだけで。
「まあでも、お前はうんと女の子扱いされまくるのいやだもんな。うんうん、わかってるって」
 子どもにするみたいに頭をぽんぽんとされて、顔が熱くなった。こいつ、まさか……。
 彼の服の裾を握りしめると、ふいに抱擁が解かれた。短く名前を呼ばれて反射的に顔を持ち上げてしまい――すぐ、後悔するはめになる。

 その「目」だ。
 普段つけている仮面をいっさい取り払って、ただひたすらにまっすぐな視線を注ぎ込まれてしまうと、私はとたんに身動きができなくなってしまう。
 お前が大好き。誰にも渡せない。これからもお前だけを想い続けるから。
 直接そう囁かれているような気持ちになってしまって、身も心も預けてしまいたくなる。
 真正面から向き合うときとは違う。ずっと高い場所から見つめられることで、「男」と「女」を意識して、普段の私が行方不明になりそうになる。
 思えば、昔から「目は口ほどにものを言う」タイプの人間だった。だから、私もこうしてやられてしまったんだろう。

「かーわいい」
 触れるだけのキスをされても、いつもの抵抗はできなかった。今の私は、いつもの私じゃなくなっている。
「なあ、俺んち……寄ってくだろ?」
 確信に満ちた笑みさえ、素直に格好いいと思ってしまう。返事まで素直に返すのだけはためらって、服を握りしめたままの手に力を込めて、俯きがてらうなずく。
「お前さ、急激にかわいくなんのやめてよ。俺も大変だよ」
 意味わかんない。私はそんなつもり全然ないんだから。
 服を掴んでいた手は、いつの間にか彼の大きな手のひらに包まれていた。そのぬくもりを噛み締めながら、「女」もいいかもしれないと、少しだけ素直に思った。畳む

ワンライ 編集

偽りからの卒業

#BL小説

20210101234643-admin.jpg

「深夜の真剣文字書き60分一本勝負」さんのお題に挑戦しました。
お題は『卒業』です。主人公のモノローグオンリーです。

---------

 卒業するんだ。

 恐怖はある。肩まで伸びた、軽くくせのある髪を切るためのはさみは、握る手の震えを受けて役目を果たせそうにない。
 悪いのはすべて自分。笑顔を向けてくれて、ときには二人きりで遊びにも誘ってくれた彼をずっと騙して、でも本当の自分をさらけ出せずにここまで来てしまった。

『君のこと、ずっと好きだった』

 告白してくれたのに、逃げてごめんなさい。
 変わらずバイト先に来てくれて、何もなかったように振る舞わせてしまってごめんなさい。

 本当は好きだと、付き合って欲しいと言いたい。
 でもきっと失望する。冷たい視線を向けられて、捨て台詞のひとつでも吐かれて目の前から立ち去ってしまうだろう。
 胸が締め付けられる。今までのツケが回ってきただけなのに苦しいなんて、自分でもいやになる。

 気づけば、向かいにある顔が醜くゆがんで揺らめいていた。
 馬鹿としか言えない。みっともなく泣くくらいならさっさとやめて、本当の自分で勝負すればよかったんだ。諦めろと言い聞かせてもできなくて、なのに向けられる好意に甘え続けた結果が「これ」だ、自業自得にほかならない。

 はさみを、改めて握りしめる。
 目元を荒々しくこすって、弱さの象徴を見つめる。

 彼が好きなのは、都合のいい夢を見続けた偽の自分。
 自分が好きなのは、常に本当を見せてくれた彼。
 フェアじゃないままの恋ほど、虚しいものはない。

 髪を空いた手でつかみ、刃を当てる。
 しゃくり、しゃくり、音をたてるたびに、影に隠れていた、情けなくもがいていた自分が暴かれていく。

「はは、なんか……あっけない」

 スマートフォンを手にとって、履歴の一番上にある彼の番号をタップする。呼び出し音がこんなに怖いと思ったことはなかった。

『も、もしもし?』
「こんにちは。……あの、今って時間、あります? その、話がしたくて」
『も、もちろん! じゃあ、場所は……』
「あの喫茶店でいいなら、そこで」
『オッケー! じゃあ、またあとで!』

 いつもより声が低いって、不思議に思わなかったかな。
 女言葉も使ってなかったけど、気づいてたかな。
 苦笑が漏れる。あのテンションじゃ、絶対気づいていない。安心すればいいのか、がっかりすればいいのか、自分もわからなかった。

「それじゃ、行きますかね。……オレ」畳む

ワンライ 編集

文字書き60分一本勝負SS・週に一度の楽しみ

#BL小説

20210101233840-admin.jpg

「深夜の真剣文字書き60分一本勝負」さんのお題に挑戦しました。
大学生と猫カフェ店長のお話。勢い任せすぎな内容ですw

---------

「ミーアちゃんにも……店長にも、会いに来てるって言ったら」
「……え?」
 この口め、バカか。
 言うつもりなんてなかったのに、つい、滑ってしまった。
 あなたがあまりにも可愛い顔して、飛び上がるほど嬉しいことを言ってくるから。
 でも、せめてここで止めないと。


 可愛い動物が好きそうな外見はしていない。我ながら悲しい自己分析だと思う。
 それでも、週に一度の動物カフェめぐりはオレにとっての最高の癒やしでありやめられない趣味で、その最中にオレはある店長と出会った。
「君、猫好きなんだ! 嬉しいな〜」
「猫っていうか可愛い動物が、ですけど……でも、男一人でこういうとこって気持ち悪くないすかね?」
「なんで、そんなこと全然ないよ! 少なくとも僕は新しい仲間ができたみたいですごく嬉しいよ」
 自分より背の低い年上の彼はそう見えないほわんとした笑顔で、一人きりのゴツめな男性客で若干遠巻きに見られていたオレに話しかけてきてくれた。

 驚くほどあっけなく、恋に落ちた。

 週末限定で「出勤」するというメス猫のミーアちゃん――黒白で結構人懐こい。オレにもずいぶん心を許してくれるようになった。と思う――目当てという口実で、週一の逢瀬を楽しんでいた。

「ほんとにいいの? 片付け手伝ってもらっちゃって」
「いいんですよ。オレも猫ちゃん達とまだいれるの嬉しいですから」
 逢瀬も三ヶ月目に突入すると、ただの客と店長の間柄ではなくなっていた。互いに一週間何があったかを報告しあってから好きな動物の話へと移る、という流れがすっかり定着している。オレも同士の仲間が増えた。
 店長の、熱のこもった大好きなもの話に付き合っていたらあっという間に閉店時間を迎えたので、どさくさついでに居座っている。オレとしてはむしろ喜ばしい状況だった。
「正直、手伝ってくれて助かるよ〜。ほら、お客さん増えてきたでしょ? だからだんだん一人じゃさばききれなくなってきてね」
 それなら、バイトでも申し出てみようか。特に募集はしてないなと思ってはいたけど、今の話を聞いたら雇ってくれそうな気がする。この特別な時間を、週一だけにしたくない。


 瞬間、店の扉にぶら下がっている鈴の音がした。
「あ、今日はもう閉店――」
 店長の声が止まった。不思議に思って見やると、今まで見たことのないような強ばった表情をしていた。
「お前の姿を見かけた気がしたけど……マジで当たってたのか」
 スーツ姿の男は吐き捨てるように言った。反射的に男と店長の間に立つと、鋭い眼光を送られた。
「誰だお前」
「バイトです。アンタこそなんです、いきなり」
 この場に猫ちゃん達がいなくてよかった。勘だけど、こいつは躊躇なく蹴り飛ばしそうな雰囲気をしている。
「ここ、猫カフェだって? よく動物まみれの店でバイトできんな」
「……それなら、今すぐお帰りください。なんの得もないでしょう」
「それだけじゃねえよ。後ろで震えてるあいつ、男が好きなんだぜ? どうすんの、狙われちゃうよ?」
 後ろで息を吸う音が聞こえた。
 オレも驚いた。それは否定しない。でも気持ち悪いなんて感想はもちろんなかった。オレは店長という人を好きになったし、男でも女でもきっと関係なかった。

「大丈夫ですよ」
 振り返って、怯えている店長の手をそっと握る。震えた声で、それでも安堵したように名前を呼ぶ店長をさらに抱きしめて安心させたかったけど、先にアイツを何とかしないといけない。
「はは、お前もそいつにやられちまったのかよ。どうせ一時的な気の迷いだったって後悔するだけだぜ!」
「いいから、とっとと出てけ」
 身長の高さとゴツめの見た目がこんな形で役に立つとは思わなかった。
 そそくさと背中を向けた男が完全に視界から消えるのを待ってから、改めて店長を振り返る。とりあえず近くの席に座るよう促して、震える背中を撫でてやった。
 ややして、萎れた花のような笑顔が向けられる。
「……ごめん、ありがとう。今日は、君に助けられてばっかだね」
「いえ、気にしないでください。店長こそ大丈夫ですか?」
 アイツは、店長が大学生時代に付き合っていた相手らしい。
 今思うと、動物嫌いでイライラが募ると暴力を振るうような男にどうして惹かれたのかわからないと、店長は苦笑しながらこぼした。
「向こうの方から別れてくれって言われた時はほっとしたよ。やっと興味をなくしてくれたって……彼と付き合ってる間は、怖くて動物も飼えなかったんだ」

 思わず、店長を抱きしめていた。こんな重い話をしている時にある意味拷問じゃないかと、すぐ我に返って身を引こうとしたのに、できなかった。
「君の腕の中、すごく安心する……君がいてくれて、本当によかったよ」
 今度は、驚きのあまり固まってしまった。慌てたように店長が抱擁を解いても、身体も頭も動かない。
「ご、ごめん! 気持ち悪いこと言っちゃったね!」
 違う。オレが言いたいのは、そんな期待をもたせるようなことを言っていいのかって――

「……オレが、週一でここに来てるの」
 口が勝手に動いてしまう。
「ミーアちゃんにも……店長にも、会いに来てるって言ったら」
「……え?」

 そう、ここで止めないとだめだ。店長にも申し訳ない。純粋に助けてくれてありがとう、という感謝の気持ちなだけのはずなのに。
「す、すみません! なんでもないです、忘れてください。えっと、そろそろ帰りますね」
 どうしていいかわからないオレが取れる行動は最低にも「逃げる」だけだった。これ以上ここにいたらどんなうっかりをしでかすかわからない。多分もっと店長を傷つけてしまう。

「待って」

 凛とした声と、腕をつかむ震えた手に、足を止められた。
 でも振り返れなかった。まるで叱られた犬のような心境だ。
 伝わってくる震えが、一層強くなる。

「……僕が、ミーアと一緒に、君を待ってたって、言ったら」

 訊き返すのは、今度はオレの番だった。
 見下ろした先の店長は、見間違えようのない赤い顔をしていた。畳む

ワンライ 編集

カテゴリ「ワンライ44件]8ページ目)

Powered by てがろぐ Ver 4.2.0.
template by do.

admin