主にTwitterのワンライ企画やお題で書いたショートショートをまとめています。 男女もの・BLもの・その他いろいろごちゃ混ぜです。
2021.01.30 ワンライ 編集
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2021年1月30日[1件]
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死神のようで天使
#CPなし深夜の真剣物書き120分一本勝負 のお題に挑戦しました。
お題は「①やらかした」を使いました。子どもの一人称って難しいです💦
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きらきら光る、きれいな花が落ちていた。
拾って先に進むと、また花。今度は黄色に光っている。
赤い色、緑色、青色。
いくつあるんだろう。もう、六つも拾った。
両手で大事に抱えながら、すでに見えている七つ目の花に向かう。
あれは……黒色?
「お願い……」
伸ばしかけた手が止まる。誰の声かなんて、間違えるわけがない。
「頼む……目を……」
目?
不思議に思うまま、花に向けていた目を上に上げた。
――青い。とってもきれいな、青空がある。まるでさっきまでいたところみたい。パパとママと一緒にいた時、こんな空だった。わたしは楽しくて楽しくて、それで……どうしたんだっけ。ママが確か、大声でわたしの名前を呼んで……それから、それから。
どうしてわたし、ひとりぼっちなの?
パパとママは、どこ?
帰りたい。
パパとママのいるところに、帰りたい!
「……しろ、い」
いつの間にか青空がなくなって、白い色だけがぼんやりと見えていた。家の天井みたいな色をしている。
なぜか身体が動かない。それに、すごく眠い。
「目が……覚めたの……!?」
隣で、ママが泣いていた。ちらっと見えたのはパパ? なんだかとても慌てているみたいだった。どこに行ったんだろう?
でも、戻ってこられたんだ。
「……お花……」
ママ、わたしがはぐれたから泣いてるのかな。いつも怒られているのに、本当に悪いことをしちゃった。
拾った花をあげたら、ママは笑ってくれるかな?
それなのに、眠いせいか腕が持ち上がらない。
「どうしたの? どこか痛い?」
「わたし……お花、拾ったの……ママ、お花、好きでしょ?」
だから、泣き止んでね。笑ってね。
ふわふわとした気分のまま、今度目に映ったのは黒い色だった。
でもどうしてかな、怖くはなかったんだ。
「お前、どうしてあそこで帰しちまったんだよ。久々の食事にありつけそうだったのに」
隣でじとりと睨み付けてくる相棒に苦笑を返して、白いベッドに横たわる少女を天井から見下ろす。再び意識を失ったようだが、人間にとっての最悪な事態にはもうならない。
死を関知できる存在だからこそ、わかる。
「ああいうピュアっピュアな魂はごちそうなのになぁー。だからあの子の気を頑張って引いてやったのになぁー」
「ごめんって。……だって、あまりにも不憫すぎるから」
「スマホいじって運転してた車に撥ねられたのが、か? それはご愁傷様だけど、俺らには関係ないだろ? むしろ面倒が増えるだけっていうかさー」
彼の言うことはもっともだし、迷惑をかけているのも自覚している。
それでも、撥ねられる瞬間の絶望にまみれた顔がどうしても頭から離れてくれなかった。ひたすらに泣きじゃくる母親と、懸命に正気を保とうとぎりぎりの場所に立っている父親の姿を見ていられなかった。
「……ほんと、君には迷惑ばかりかけてるよ」
「全くだよ。もはややらかしちゃった、じゃ言い訳にならないくらいの常習犯だからな」
魂を喰らう存在「らしからぬ」意味で有名人になってからずいぶんと久しい。それでも相棒として居続けてくれる彼に心の底から感謝をしているのに、全く態度に示せていないのがまた申し訳ない。
「……んな顔すんなって。ま、あんなチビッコじゃ一人で喰ってもハラいっぱいにはならねぇし、どうせ探しに行くのは変わんねえよ」
肩をぽんと叩いて消えた背中に小さく礼を告げて、改めて少女を見やる。
医師から説明を続けている両親の横で、とても穏やかな表情で眠っている。やっぱり、喰らわなくてよかった。
「今度は、勢い余って飛び出したらダメだよ」
そして、相棒の後を追いかけた。畳む