Short Short Collections

主にTwitterのワンライ企画やお題で書いたショートショートをまとめています。
男女もの・BLもの・その他いろいろごちゃ混ぜです。

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【300字SS】お題「謎」

#CPなし

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300字SS  のお題に挑戦しました。お題は「謎」です。

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「謎は謎のまま終わるっていうのもいいものよ。いろいろ想像できて楽しいし?」
理解できない。だって気持ち悪いもの。たとえバッドエンドでも謎ひとつ残らず完結したほうがすっきりできるでしょ?
……そう、思っていたんだけど。

「最初はそんなつもりじゃなかったんだ! 君を傷つけるつもりは……」
「ちょっと魔が差したというか……今は本当に反省してる、もう絶対君を裏切らない!」

ドラマみたいな台詞を受け続けて、ああ、今はあの気持ちがわかるかもなんて、頭のどこかで感じていた。
衝撃を通り越して、もはや奇妙な楽しささえ生まれつつある。

ゆっくりと、下に向いていた視線を持ち上げる。

さて、私はどうオチをつけたと思う?畳む

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【300字SS】最初で最後

#男女もの

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毎月300字小説企画  のお題に挑戦しました。お題は「初」です。

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「今日は本当にありがとうございました」
「こちらこそ。僕としては自分でよかったのかなって今でも思ってるけど」
「いいえ、いいえ。わたく、私こそ我が儘を聞いていただいて、感謝しています」
 もうすぐ今日が終わってしまう。
 終われば、この人の前にはもう、いられなくなる。
 最初で最後の初恋は、甘くもあり苦くもあった。
 ……大好きな人と一日、自由にいられただけでも、幸運と思わないと。
「ど、どうしたの? どこか痛い?」
「お気に、なさらないで。とても、幸せで」
 負の感情は一切含ませてはいけない。一番の宝物としてしまっておけるものにしておきたい。
「それじゃあ、さようなら」

 彼が引き止めてくれても、初恋は消える定めなのだ。畳む

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【300字SS】甘い言葉をくれるひとは

#男女もの

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毎月300字小説企画  のお題に挑戦しました。お題は「甘い」です。

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「貴方の声は簡単に私を虜にしてしまうの。耳が蕩けるようよ」
「なら僕は『君の瞳も格好いい声も柔らかい髪も、全部僕を虜にして離さない……君はまさに運命なんだ!』」

「「いやいや、甘すぎ!」」

 二人してお腹を抱える。まさか一言一句綺麗に揃うなんて、素晴らしい奇跡だ。
「ああ、こんなに笑ったの久しぶりだよ」
 笑いで生まれた熱が消えていく。現実が代わりに降り積もる。
「これで、きっと穏やかにいける」
 白いベッドに腰掛けたままの彼は、こうなって幾度目かの苦笑を零す。
「身体がなくても、僕はずっと君と一緒だ。今度は夢で、たくさん逢おう」
 意識して唇を持ち上げた。
「……忘れないで」
 忘れないよ。あなたが最初で最後だもの。畳む

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【300字SS】永遠に

#男女もの

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毎月300字小説企画  のお題に挑戦しました。お題は「おくる」です。

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 見送った日の背中が未だに忘れられない。
『……僕を信じて、待っててくれ』
 向かった場所は教えてくれなかった。連絡を取るのも禁じられた。お互いを唯一つないでいるのは、ネックレスに通した婚約指輪だけ。
 苛立ち以上に不安が大きかった。最悪の想像ばかりが脳裏をよぎって仕方ない。
「ごめんね、説得できなかったよ」
 ようやく、ようやく逢えた彼は、目を伏せながら当たり前のようにそう告げた。
 訊き返す声は、出なかった。
「人間と結婚したら君を殺すと言われた。秘密を知られるわけにはいかないって」
 寒い。足の力が抜けていく。
「わかってくれるよね? 僕は、君を誰にも渡したくないんだ」
 この感触は、薬指から?
 ……私、笑えてるかしら畳む

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【300字SS】継がれゆく

#CPなし

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毎月300字小説企画  のお題に挑戦しました。お題は「靴」です。

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 桜を思わせる薄桃色のハイヒールは、私の憧れだった。履けたら一人前の大人になれる気がしていた。
「ふふ、有希にはまだ大きいわね」
 ぶかぶかの足を見て微笑んでいた母が、履いている姿を見たことはない。
「お母さんはもう、似合わないからね。そうね、有希が履いた方がいいわ」
 時々、母がハイヒールを寂しそうに手入れしていること。私の記憶にない、父の名前を呟いていること。
 歳を重ねて、私はその素振りの意味を知った。
「遠慮しないで。大事にしてくれたら嬉しいわ」
 笑顔と言葉に嘘はない。それでも、確かな哀感さがにじみ出ていた。

 今、私の足元をあのハイヒールが彩っている。
 二人分の思い出はちょっと重いけれど、心はあたたかい。畳む

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