Short Short Collections

主にTwitterのワンライ企画やお題で書いたショートショートをまとめています。
男女もの・BLもの・その他いろいろごちゃ混ぜです。

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2023年11月3日 この範囲を新しい順で読む この範囲をファイルに出力する

思いがけない小さな宝石たち

#BL小説

創作BL版深夜の60分一本勝負  のお題に挑戦しました。
使用お題は「星月夜」です。
ちょこちょこ書いている、探偵所長×部下シリーズものです。
簡単なキャラ設定は「こちら」 をどうぞ。

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「いやはや、すっかり遅くなってしまったな」
「でも、なんとか無事に報告できてよかったです。遠くまで足を運んだ甲斐がありましたね」
 外出するのが珍しい所長が隣を歩いているのは理由がある。
 今回依頼を受けた案件は(自分の目線では)結構複雑で、先輩である(あずさ)と二人での報告でも難しいこと、依頼主がそこそこ高齢で事務所まで出向いてもらうのは大変だということ。実際、所長がいなければわかりやすい報告はできなかっただろう。
 電車とバスを乗り継いで約一時間半はかかっただろうか。依頼を受けた際、とても腕のいい探偵だと知り合いに教えてもらったから、と聞いたときは、思わぬところまで名前が知れていると驚いたものだ。さすが憧れの所長の祖父なだけある。
「バスが来るまでまだ時間ありますねー……って」
 背負っていたリュックを停留所の椅子に下ろして思いきり伸びをした瞬間、思わず動きが止まってしまう。
「ん、どうした? (のぼる)くん」
「所長、見てくださいよ! 星がきれいですよ」
 都会にいると、日中でも夜でも空を見上げる、なんて動作はあまりしなくなる。
 伸びをしてよかった。
 プラネタリウム……なんてレベルまではいかないまでも、都会よりも多くの小さな煌めきが、夜空を彩っている。
「おー、本当だねぇ。この辺りは街灯が少ないから、そのおかげかな」
「さっき出発したときはまだ明るいほうかな? って思ったんですけどね。日が落ちるの早いなぁ」
「星座も見やすいね。昇くん、わかる?」
「えーと、実はさっぱりで……」
 教科書で見たことのある形はいくつか発見できたものの、名前はすっかり忘れてしまった。所長も笑っている。
「じゃあ、今度プラネタリウムデートでもしようか。今はスマホアプリで星座教えてくれるのもあるけど、実際見ながらのほうがわかりやすいと思うしね」
「えっ、しょ、所長がそんなロマンチックな……」
「君ねぇ。星座は歴史を紐解くとなかなかに面白いんだよ。一つ一つにちゃんと作られた理由がある。決してスピリチュアルな存在ではないのさ」
 そうだとしても、非科学的な存在に否定的な所長を知っていると、星座占いなどが一般的なのもあって珍しく映ってしまうのは仕方ない。
 でも、星座に少しでも詳しくなれればこういう機会があったとき、何倍も楽しめそうだ。
「そうだ、せっかくだから星空鑑賞会できるホテルとか泊まってみる? 探すとわりとあるんだよ」
 柔和な笑顔で提案してくれた案に乗っかろうとして、ふと気づく。
「……おれとただ泊まりに行きたいだけだったりして」
「そんなことないよ」
 一瞬言葉に詰まったのは見間違いじゃない。
 そして、ジト目で睨まれてしまった。
「ていうか、僕と二人で朝から晩まで過ごしたくないの?」
「そ、そういう言い方しないでくださいよ! そうじゃなくて、おれ本当に知りたいんです」
 所長と夜を過ごすとなると、ほぼ確実に……である。別に構わないが、本来の目的もちゃんと済ませたい。
「オーケー。君の知的好奇心も、恋人同士の時間もちゃーんと満たせるようにするから。いいホテル探しておくね」
 にこにことした笑顔は、信じても問題ない……はず。少なくともこういうときの所長は手を抜かない。
 密かに胸を躍らせつつスマホで時間を確認すると、バスが来るまではもう少しかかりそうだった。
 ——誰もいないし、仕事も終わったし。ちょっとくらい、デート気分を味わってもいいよね。
 所長の腕に自分のを巻き付けて、目を丸くした所長にすり寄る。
「バスが来るまで、今見えてる星座教えてください」
 改めて見上げた星たちは、先ほどよりもどこか煌びやかに映った。畳む

ワンライ 編集

2023年11月4日 この範囲を新しい順で読む この範囲をファイルに出力する

【300字SS】意識を奪われたターゲットは

#CPなし

20231104220049-admin.png

毎月300字小説企画  のお題に挑戦しました。お題は「奪う」です。

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「あなた、泥棒?」
 私としたことが、気配に全く気づかなかった。
 姿形と表情が釣り合っていない少女は、怖がらないし、通報する素振りも見せない。
 ただ、部屋の入口で私を見つめている。
「可愛いお嬢さん。だとしたら、どうします?」
 逃げる算段を組み立てながら大仰に問うと、ふらりと距離を詰めてきた。
「盗むなら、あたしを、盗んで」
 意図が読めない。
「……なぜ?」
「ここから盗むだけでいいの」
 無だった表情に、一気に色が加わる。
「誰も来ないうちに、はやく」

 私は人攫いに来たわけじゃない。子どもなんて稼ぎにもなりゃしない。
 ——救世主のように、必死に見上げてくるから?
 握ってくる震えた手を払えないし、揺れる目も逸らせないのだ。畳む

300字SS 編集

2023年11月9日 この範囲を新しい順で読む この範囲をファイルに出力する

油断禁物

#BL小説

思いついたシーンをつらつら書いてみました。
イメージ的にはサラリーマン同僚同士。のらりくらり型男子とツンツン気味男子。受け攻めはあまり考えずに書きました。

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 まったく、まいったなぁ。
 大体「なんでもないんですよー」「こっちは大丈夫です、それよりあなたですよ! なんか疲れてません?」的なことを言っておけばかわせるのになぁ。

「下手な誤魔化しなんてしないほうがいいよ」
「そっちのほうがしんどそうな顔してるくせに、よくそんなこと言えるね。呆れるよ」

 ストレートすぎるくらいストレートに、実年齢より若く可愛い容姿の彼は言ってくる。
 このすっぱり感はうちの弟を思い起こさせるが、むしろ鋭利さが増している。
 綺麗なバラにはトゲがある的な? 綺麗より可愛いだけど。
 変に詮索されるのは苦手なんだよね。自分は自分、他人は他人。たとえば俺が親身に話を聞いたところで、本当の意味で他人を理解できるわけじゃない。どうしたって主観が混じってしまうから、失礼だと思うんだ。
 まあ、話すだけでも楽になるっていうのもあるけど、自分にはあんまり当てはまらないかな……。今までも自分で処理できてたし。
 今回はちょっと、珍しく長引いてるってだけ。

「あんたは多分強い人間なんだろうけど、いつまでもそれを保ってられるわけじゃないでしょ」
「変な意地張ってないで、いい加減さっさと折れたら? 限界迎える前にさ」

 それより、なんで君はこんなに構ってくるわけ? こっちの状態見抜けるわけ?
 確かに普段からやり取りは多いほうだけど、大体ツンツンした態度だから、嫌われてるとばかり思ってた。俺はせいぜい「まあ面白いやつだな」ぐらいの意識だった。
 彼のことがよくわからなくなってきたよ。

「そんなに必死になっちゃって、よっぽど心配なの? もしかして俺のこと好き?」

 ドラマとかでよくある冗談を言えば、怒って解放してくれると思ったんだよね。
 ほんと、もういい加減にしてほしかったし。

「……そうだとしたら、どうなの?」

 まっすぐに俺を見つめて、ツンツンした物言いも影をひそめて。
 予想外の反応に、もっとわからなくなった。まさかこっちが動揺するなんて思わなくて、うまい言葉が出てこない。
 彼がさりげなく距離を詰めてきた。目線がほぼ同じ位置だ、なんて場違いな感想を抱いてしまう。

「ぼくがあんたを好きだって言ったら、あんたは素直になってくれるわけ?」

 初めて間近で見た彼の瞳は、腹が立つほど綺麗だった。
 真面目な言い方をしてるってことは、まさか、本当に? いやでも、全然そんな素振りなかった。わからない。

「それは、どうだろうね」

 精一杯の返答をすると、まったく可愛くない不敵な笑みを彼は浮かべた。畳む

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2023年11月(時系列順)3件]

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