星空と虹の橋の小説を掲載しています。
更新履歴
- こんな日は素直に休みましょう
2025/11/23 08:55:29 探偵事務所所長×部下シリーズ - 思いがけない小さな宝石たち
2025/11/18 14:42:15 探偵事務所所長×部下シリーズ - 【300字SS】拭えないまま
2025/10/04 22:41:49 ショートショート・その他 - 【300字SS】必然で唐突な運命
2025/07/05 22:00:07 ショートショート・その他 - 【300字SS】だから、独りを選ぶ
2025/06/07 22:41:10 ショートショート・その他
No.142
- この投稿と同じカテゴリに属する投稿:

毎月300字小説企画 のお題に挑戦しました。お題は「酔う」です。
桜の木の精と恋人を亡くした社会人のお話。
『現実を忘れられるなら、今は』の話が元ネタです。
-------
「桜、結構散ってるけど、まだきれいだね」
桜を見上げる彼の瞳は、柔らかい光を放っている。まるで私自身が見つめられているようで、頬が熱い。
「今年も立派に咲きましたから。貴方のおかげです」
「褒めすぎ。俺はなにもしてないよ」
彼の頬もほのかに色づいていて、さらに温度が上がった気がした。
ふと、双眸が細められた。無意識か、空に手を伸ばして散る花びらを掴むような動きを繰り返す。
——そういえば、大切だったあの方とそんな遊びもしていましたね。
無駄な熱が一気に抜けた。人間風に表現するなら「酔いが覚めた」だろうか。
「ごめん、俺、なにやってんだろ」
我に返った彼は不器用な笑みを向ける。
私は、首を振るしかできなかった。
#[300字SS]