星空と虹の橋の小説を掲載しています。
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No.69
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「一次創作BL版深夜の真剣60分一本勝負」 さんのお題に挑戦しました。
使用お題は『呼気』『許して』です。
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「許して」
背中に届く声と呼吸のリズムは、まだ「普通」だった。
細かく震えている程度なら、まだ「足りない」。
「許、して」
次第に、呼吸の乱れが口調にも移り始めた。
怖いものの苦手な人が、お化け屋敷の中間まで進んだような状態といえばわかるだろうか?
でも、まだまだ足りないよ。君にはもっとわかってもらわないと。
君が俺に対して、どんな愚行を犯したのかを。
「ゆる、して……おねがい、だから……」
しゃくるような呼吸が混ざりだした。ようやく、自らの罪の重さを自覚し始めたのだろうか?
自然と唇が持ち上がる。
でも、まだ物足りないんだ。君はもっと、自分の立場というものを理解してもらわないといけない。
何度、このくだらない茶番を繰り返していると思っているの?
「ごめ、なさ……も、二度としませんから……僕は、君だけのものだから……!」
背中に引っ張られる感触を覚えた瞬間、身体ごとゆっくりと振り向いた。
すべて想定通りの展開に、恋人の表情だった。
「本当に、わかってくれた?」
「俺のもとから逃げ出そうとしたくせに?」
「君は俺のものだって理解してくれたと、本当に信じていいの?」
普段以上に大きい瞳を涙で埋めて、恋人は何度もうなずきを繰り返す。俺の腕をすがるように掴んだ手からは、はっきりとした震えが伝わってきていた。
ああ、この表情がたまらない。
俺から逃げられない、身体も心も完全に縛られていると実感できる瞬間は、麻薬にも似た高揚感を与えてくれる。
「二度と、自分の立場を忘れないで?」
跪いて、小動物のような恋人に触れるだけのキスを与える。そのまま腕の中に引き寄せると、剥き出しになっている首筋に吸い付いた。
「君はずっと、俺だけのものだから。何があっても……ね」
#ワンライ