星空と虹の橋の小説を掲載しています。
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No.125
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毎月300字小説企画 のお題に挑戦しました。お題は「靴」です。
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桜を思わせる薄桃色のハイヒールは、私の憧れだった。履けたら一人前の大人になれる気がしていた。
「ふふ、有希にはまだ大きいわね」
ぶかぶかの足を見て微笑んでいた母が、履いている姿を見たことはない。
「お母さんはもう、似合わないからね。そうね、有希が履いた方がいいわ」
時々、母がハイヒールを寂しそうに手入れしていること。私の記憶にない、父の名前を呟いていること。
歳を重ねて、私はその素振りの意味を知った。
「遠慮しないで。大事にしてくれたら嬉しいわ」
笑顔と言葉に嘘はない。それでも、確かな哀感さがにじみ出ていた。
今、私の足元をあのハイヒールが彩っている。
二人分の思い出はちょっと重いけれど、心はあたたかい。
#[300字SS]