Short Short Collections

主にTwitterのワンライ企画やお題で書いたショートショートをまとめています。
男女もの・BLもの・その他いろいろごちゃ混ぜです。

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2022年12月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

無意識な色仕掛け?

#男女もの

深夜の真剣物書き120分一本勝負 のお題に挑戦しました。
お題は「②媚」を使いました。
一応お題に沿っている……つもりです😅
だいぶアホっぽいノリになりましたw

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「っもう、またなにするのよ……!」
 仕方ない。
「ごめんごめん」
「全然反省してないのも同じだし!」
 だって、本人はまったく狙っていないとわかっていても、どうしても「誘われて」しまうから。もちろん本人は悪くない、悪いのは完全にこっち。
「公共の場でやめてって前からずっと言ってるでしょ? もう」
 あ、そのふくれ面、上から見ると本当に可愛い。突き出た唇がちょっとつやつやしていて、今度はそこにキスをしたくなってしまう。ダメだダメだ、さすがに怒り狂っての帰宅コースになってしまう。下手したら一ヶ月はスキンシップを自粛せざるを得なくなる。ああ、でも……
「ぶっ」
「黙ってやられてばっかのわたしじゃないから。てかやっぱり反省してないじゃん!」
 手のひらで口元を覆われてしまった。
 というか相変わらず突き出たままの唇に加えて上目で睨んでくるその仕草は、はっきり言って逆効果だ。「わざとやってるだろ!」と突っ込みたくなってしまうほどだ。
 ……付き合う前から痛いほど実感していたことではあるが、天然の恐ろしさを改めて思い知らされる。
「ひゃっ!? な、なに!?」
 慌てて手を引っ込ませ、固く握りしめる。なにをされたかようやく理解したのか、今度は目線を上げてもっと鋭く睨み付けてきた。
「し、信じらんない……!」
 ……わかっているんだろうか。涙目のせいで、ある意味クリティカルヒット級のダメージを与えてしまっていると、実は理解したうえでやっているんじゃないのか!?
「……俺、本当にお前が好きだ」
「は、あ?」
「すごく可愛いって毎日思ってるし、離れたくないし、今すぐ同棲したいくらい」
 なんだこいつと思われてもいい。でも、爆発しそうなこの気持ちを落ち着けるにはこうするしかないんだ!
「や、やだやめてよ! そういうのも恥ずかしいからー!」
 丸い頬は真っ赤に染まり、丸い両目がさらに潤んでいく。しまった、逆効果か!? ならどうやってこの感情を落ち着かせればいいんだ……!


「……あのさ、いい加減パフェのアイス溶けるよって敢えて言うべき? それとも黙って帰るべき?」
「こいつらダブルデートだってこと忘れてるよな」
「あんたの友達も大概だけど、あの子も本気で嫌がってないのが余計にああさせてんのよねぇ。突っ込んだらそんなわけない! って真っ赤になりながら否定するんだろうけど」
「お互いメロメロだからね。って言っても同じ反応しそうだね」
「はぁ……勘弁してよバカップル……」畳む

ワンライ 編集

2022年10月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

【300字SS】お題「謎」

#CPなし

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300字SS  のお題に挑戦しました。お題は「謎」です。

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「謎は謎のまま終わるっていうのもいいものよ。いろいろ想像できて楽しいし?」
理解できない。だって気持ち悪いもの。たとえバッドエンドでも謎ひとつ残らず完結したほうがすっきりできるでしょ?
……そう、思っていたんだけど。

「最初はそんなつもりじゃなかったんだ! 君を傷つけるつもりは……」
「ちょっと魔が差したというか……今は本当に反省してる、もう絶対君を裏切らない!」

ドラマみたいな台詞を受け続けて、ああ、今はあの気持ちがわかるかもなんて、頭のどこかで感じていた。
衝撃を通り越して、もはや奇妙な楽しささえ生まれつつある。

ゆっくりと、下に向いていた視線を持ち上げる。

さて、私はどうオチをつけたと思う?畳む

300字SS 編集

2022年8月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

【300字SS】さまざまな想いをのせて

#CPなし

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300字SS  のお題に挑戦しました。お題は「石」です。

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「不完全なのがいいのよ」
一粒の天然石が彩られたブレスレットを弄りながら彼女はほのかに笑った。
「もちろん宝石なみにキレイなのもあるけどね。でも、わたしはひび割れてたり透明じゃなかったり、そういうのが愛おしいの」
「そういうもんかなぁ……私は宝石の方が好きだけど」
宝石は完璧だ。どの角度から見ても美しいし、隙がない。身につけていると自身の格も上がる気がする。
「わかるわよ。でも、その好きは憧れっていうのもあるんじゃない?」
こういう鋭いところ、本当侮れない。
「……じゃあ、あなたは?」
「……落ち着くのよ」
自分も完璧じゃないから? いや、彼女は完璧にみえる。
変わらない笑みからは、答えは読めなかった。畳む

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2022年7月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

死神は気まぐれに舞い降りる

#CPなし

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深夜の真剣物書き120分一本勝負 のお題に挑戦しました。
お題は「①肌寒い夜」を使いました。

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「もしもし?」
 耳に届くすすり泣く声に、やっぱりな、と眉をひそめる。
 予感じゃない。スマホに表示された名前を見てからとうに確信していた。
『ねえ、あなたも、見たでしょ? 見てしまったんでしょ?』
「……ああ」
 溜め息だったのか、息を飲んだのか。
 どれだけの衝撃と絶望を感じているのかだけは、ただ、わかった。
『なんで……なんで、なの……!』
 俺たちには不思議なつながりがあった。
 夢――一人の人間が意識なく宙に浮いていて、少しすると頭の先から白い煙のようなものが狼煙のように立ち上り続けるという内容を、何の前触れもなしに見ることがある。
 それは、彼女も同じ夢を見たという証拠。
 どちらかの知り合いが、亡くなったという証拠。
 今日……いや、明日かその次の日か。いずれ、逃れられない事実を突きつけられる。
 俺たちに血縁関係もなければ、共通の知り合いもいない。たまたま就業先で出会っただけなのに、その瞬間から死神とも言うべき力が発現したのだ。
 まるでファンタジーな出来事を前に打つ手など思いつきやしなかった。ただただ翻弄され、神経を蝕まれていく。
『もう……もういやよ! 私もうこんなのいや……!』
 荒々しい吐息に同調しかけて、やめた。俺だけはしっかりしていなくては、お互い堕ちる事態だけは避けなければ。
「……神様でも悪魔でも気まぐれ起こして、なくしてくれるかも。いや、なくなれって祈ってないと」
『そんな気休めいらない!』
「ごめん。ただ、」
 ――そう言い聞かせでもしてないと気がおかしくなるから。
 言えなかった。俺はそうでも彼女は俺じゃない。気持ちだけは痛いほどわかるから責められない。叫び出したいのは俺だって同じだ。
 スマホを握る手が細かく震え出す。
 たったふたりで世界に閉じ込められたようだ。生き延びるすべはどこにあるのかとがむしゃらに足掻いて、無駄に終わり、絶望しながら夜明けを迎えている——そんな気分にさせられる。
『……いえ、ごめん、なさい。あなただって私と同じ、なのに』
 力なく首を振った。喉の奥からこみ上げてくるものを必死に飲み込む。

 なぜ、いきなりこんな能力に目覚めたのか。
 なぜ、俺たちなのか。
 なぜ、俺たちでなければならなかったんだ。

「……とりあえず、また大きな図書館とかネットとか、見てみる」
 検索していないワードはなんだろう。まだ行っていない図書館は?
 先が見えなくても、無駄な足掻きでも、今はとにかく動き続けるしかない。「見えない」ということは、未来が決まっていないということだから。
『……スピリチュアルなお店とか、意味、あるかな』
「そうか、そうだね。全然ありそうだから、そういうところも当たってみよう。意外にすぐ手がかりが見つかったりして」
 努めて明るめの声を出す。事実、その線は今まで考えつかなかったのだ。落ち着いてさえいれば、突破口を見つけてくれるのはいつも彼女だった。
『いつもありがとう。……頼ってばかりで、本当にごめんなさい』
 少しだけ、声色に精気が戻ったように聞こえた。
「ううん、俺もありがとう。正直、ちょっと折れかけてた」
『……絶対、こんな力、なくそう』

 電話を終えて、部屋の窓を開けた。真夏にさしかかろうという季節なのに、肌を撫でる風に思わず首をすくめる。
 身体の芯は、あの日からすっかり冷え切ってしまった。
 毎夜、こわくてたまらない。好きだった静寂の時間は、すっかり塗り替えられてしまった。
 早く、取り戻さないと。
 俺たちは、ただの人間なんだ。畳む

ワンライ 編集

【300字SS】嗚呼 孤独の日々

#CPなし

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300字SS  のお題に挑戦しました。お題は「洗う」です。

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初めての時はみっともなく両手が震えていた。時には失敗して報復を受け、逆に命の危険を覚えたほどだ。
何とも思わなくなったのはいつからだろう。
ある日、一心不乱に手を洗う自分を見下ろしているもう一人の自分がいた。
「そいつ」は全く落ちない両手のよごれを信じたくないというような素振りで確認と洗浄を繰り返していた。時にはみっともなく奇声まで上げる始末。
——馬鹿だ。ああ、本当に馬鹿だ。
だったらなぜこの道を選んだ。どうしても成し遂げたい目的があるから、この道を選択したんだろう?
もっと非情になれ。感情を捨てろ。洗い落とすべき対象はそっちだ。

足を踏み入れた時点でもう、「明るい未来」などやってはこないのだから。畳む

300字SS 編集

2022年6件]

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