Short Short Collections
主にTwitterのワンライ企画やお題で書いたショートショートをまとめています。
男女もの・BLもの・その他いろいろごちゃ混ぜです。
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2024年4月 この範囲を新しい順で読む この範囲をファイルに出力する
【300字SS】過去には進めない
#CPなし毎月300字小説企画 のお題に挑戦しました。お題は「憧れ」です。
続きを表示します-------
「あんたのそれは憧れじゃないよ。完全に恋だね」
ふざけたことを言わないでほしい。あの人は自分の目標であり、超えなきゃいけない壁であり、でも肩を並べたい相手でもあり……とにかく単純ではない。
「あの人がいたらはっきり機嫌がよくなるし、誰かと話してるとすぐ割って入ってくるのに?」
そりゃあ面白くないって思うときもあるけれど、友達同士でもそういう感情があるんだ、別に変じゃない。
「ふうん……まあ、後悔しないといいけど。あの人も同じような態度だってことは言っとくよ」
後悔なんて、おかしなことを言わないでほしい。
けれど今、その時の判断がぐらぐら揺れている。
「実は……結婚、するんだ」
喉が震えて、何も出なかった。畳む
時系列順[97件](20ページ目)
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【300字SS】これは不敬な感情だから
#BL小説毎月300字小説企画 のお題に挑戦しました。お題は「酔う」です。
桜の木の精と恋人を亡くした社会人のお話。
『現実を忘れられるなら、今は』の話が元ネタです。
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「桜、結構散ってるけど、まだきれいだね」
桜を見上げる彼の瞳は、柔らかい光を放っている。まるで私自身が見つめられているようで、頬が熱い。
「今年も立派に咲きましたから。貴方のおかげです」
「褒めすぎ。俺はなにもしてないよ」
彼の頬もほのかに色づいていて、さらに温度が上がった気がした。
ふと、双眸が細められた。無意識か、空に手を伸ばして散る花びらを掴むような動きを繰り返す。
——そういえば、大切だったあの方とそんな遊びもしていましたね。
無駄な熱が一気に抜けた。人間風に表現するなら「酔いが覚めた」だろうか。
「ごめん、俺、なにやってんだろ」
我に返った彼は不器用な笑みを向ける。
私は、首を振るしかできなかった。畳む