Short Short Collections

主にTwitterのワンライ企画やお題で書いたショートショートをまとめています。
男女もの・BLもの・その他いろいろごちゃ混ぜです。

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【300字SS】隣の悪魔

#男女もの

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300字SS  のお題に挑戦しました。お題は「手」です。

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手を離さないで。
確かにそう願った。懇願したと言ってもいい。
そうじゃないと自分を絶対保てないとわかっていたから。一番信頼しているからこそあなたに伝えた。
なのに……約束を破った。予想通りの醜態を晒す私を、泣き叫ぶ私を、あなたは残酷にも見捨てた。
「任せろ」と言ったあの力強い声は演技だったの? 見抜けなかった私が馬鹿だったの?
ああ、もう何も信じられない。全くどっちが役立たずなんだか……

「だから悪かったって! あんな怖いお化け屋敷だって思わなかったんだよ!」
「知らない! 無理して付き合ってあげたのに……信じらんない!」畳む

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無意識な色仕掛け?

#男女もの

深夜の真剣物書き120分一本勝負 のお題に挑戦しました。
お題は「②媚」を使いました。
一応お題に沿っている……つもりです😅
だいぶアホっぽいノリになりましたw

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「っもう、またなにするのよ……!」
 仕方ない。
「ごめんごめん」
「全然反省してないのも同じだし!」
 だって、本人はまったく狙っていないとわかっていても、どうしても「誘われて」しまうから。もちろん本人は悪くない、悪いのは完全にこっち。
「公共の場でやめてって前からずっと言ってるでしょ? もう」
 あ、そのふくれ面、上から見ると本当に可愛い。突き出た唇がちょっとつやつやしていて、今度はそこにキスをしたくなってしまう。ダメだダメだ、さすがに怒り狂っての帰宅コースになってしまう。下手したら一ヶ月はスキンシップを自粛せざるを得なくなる。ああ、でも……
「ぶっ」
「黙ってやられてばっかのわたしじゃないから。てかやっぱり反省してないじゃん!」
 手のひらで口元を覆われてしまった。
 というか相変わらず突き出たままの唇に加えて上目で睨んでくるその仕草は、はっきり言って逆効果だ。「わざとやってるだろ!」と突っ込みたくなってしまうほどだ。
 ……付き合う前から痛いほど実感していたことではあるが、天然の恐ろしさを改めて思い知らされる。
「ひゃっ!? な、なに!?」
 慌てて手を引っ込ませ、固く握りしめる。なにをされたかようやく理解したのか、今度は目線を上げてもっと鋭く睨み付けてきた。
「し、信じらんない……!」
 ……わかっているんだろうか。涙目のせいで、ある意味クリティカルヒット級のダメージを与えてしまっていると、実は理解したうえでやっているんじゃないのか!?
「……俺、本当にお前が好きだ」
「は、あ?」
「すごく可愛いって毎日思ってるし、離れたくないし、今すぐ同棲したいくらい」
 なんだこいつと思われてもいい。でも、爆発しそうなこの気持ちを落ち着けるにはこうするしかないんだ!
「や、やだやめてよ! そういうのも恥ずかしいからー!」
 丸い頬は真っ赤に染まり、丸い両目がさらに潤んでいく。しまった、逆効果か!? ならどうやってこの感情を落ち着かせればいいんだ……!


「……あのさ、いい加減パフェのアイス溶けるよって敢えて言うべき? それとも黙って帰るべき?」
「こいつらダブルデートだってこと忘れてるよな」
「あんたの友達も大概だけど、あの子も本気で嫌がってないのが余計にああさせてんのよねぇ。突っ込んだらそんなわけない! って真っ赤になりながら否定するんだろうけど」
「お互いメロメロだからね。って言っても同じ反応しそうだね」
「はぁ……勘弁してよバカップル……」畳む

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【300字SS】最初で最後

#男女もの

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毎月300字小説企画  のお題に挑戦しました。お題は「初」です。

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「今日は本当にありがとうございました」
「こちらこそ。僕としては自分でよかったのかなって今でも思ってるけど」
「いいえ、いいえ。わたく、私こそ我が儘を聞いていただいて、感謝しています」
 もうすぐ今日が終わってしまう。
 終われば、この人の前にはもう、いられなくなる。
 最初で最後の初恋は、甘くもあり苦くもあった。
 ……大好きな人と一日、自由にいられただけでも、幸運と思わないと。
「ど、どうしたの? どこか痛い?」
「お気に、なさらないで。とても、幸せで」
 負の感情は一切含ませてはいけない。一番の宝物としてしまっておけるものにしておきたい。
「それじゃあ、さようなら」

 彼が引き止めてくれても、初恋は消える定めなのだ。畳む

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【300字SS】甘い言葉をくれるひとは

#男女もの

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毎月300字小説企画  のお題に挑戦しました。お題は「甘い」です。

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「貴方の声は簡単に私を虜にしてしまうの。耳が蕩けるようよ」
「なら僕は『君の瞳も格好いい声も柔らかい髪も、全部僕を虜にして離さない……君はまさに運命なんだ!』」

「「いやいや、甘すぎ!」」

 二人してお腹を抱える。まさか一言一句綺麗に揃うなんて、素晴らしい奇跡だ。
「ああ、こんなに笑ったの久しぶりだよ」
 笑いで生まれた熱が消えていく。現実が代わりに降り積もる。
「これで、きっと穏やかにいける」
 白いベッドに腰掛けたままの彼は、こうなって幾度目かの苦笑を零す。
「身体がなくても、僕はずっと君と一緒だ。今度は夢で、たくさん逢おう」
 意識して唇を持ち上げた。
「……忘れないで」
 忘れないよ。あなたが最初で最後だもの。畳む

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【300字SS】永遠に

#男女もの

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毎月300字小説企画  のお題に挑戦しました。お題は「おくる」です。

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 見送った日の背中が未だに忘れられない。
『……僕を信じて、待っててくれ』
 向かった場所は教えてくれなかった。連絡を取るのも禁じられた。お互いを唯一つないでいるのは、ネックレスに通した婚約指輪だけ。
 苛立ち以上に不安が大きかった。最悪の想像ばかりが脳裏をよぎって仕方ない。
「ごめんね、説得できなかったよ」
 ようやく、ようやく逢えた彼は、目を伏せながら当たり前のようにそう告げた。
 訊き返す声は、出なかった。
「人間と結婚したら君を殺すと言われた。秘密を知られるわけにはいかないって」
 寒い。足の力が抜けていく。
「わかってくれるよね? 僕は、君を誰にも渡したくないんだ」
 この感触は、薬指から?
 ……私、笑えてるかしら畳む

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