星空と虹の橋の小説を掲載しています。
更新履歴
- 重なり合うブルー・アワー
2025/05/10 13:24:00 短編・男女 - 【300字SS】拭えないまま
2025/10/04 22:41:49 ショートショート・その他 - 【300字SS】必然で唐突な運命
2025/07/05 22:00:07 ショートショート・その他 - 【300字SS】だから、独りを選ぶ
2025/06/07 22:41:10 ショートショート・その他 - 【300字SS】また来週、確かめたいから、
2025/05/03 22:43:41 ショートショート・その他
No.144
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毎月300字小説企画 のお題に挑戦しました。お題は「指」です。
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手のひらを抜けて、肘のほうまで。
陳腐な言い方だけど、まるで電流だった。
触れられているのは数本の指先、ほんのわずかな箇所なのに。
素直に表に出すのは悔しくて、唇を引き結ぶ。
隣から、からかいを含んだような小さな笑い声が聞こえてきた。……お見通しってこと?
――声が漏れそうになった。
触り方、かわった。明らかな、誘いに乗りたくなるような、身体の芯を撫でるような――
この人になにもかも刷り込まれたことを思い出す。私という人間は、この人好みにつくりかえられてしまっている。
ああ、もう。
「いつまで痩せ我慢が通用するかな?」
指の間へするりと移動した熱に浮かれ始めているのを、もはや止められそうにはない。
#[300字SS]